「 recollection 」-Live report-




IS 2004年 3月 27日 新宿Marble ”音空企画vol.1「空感1・〜光幻音+心響歌〜」”





曲順
1. tomorrow land
2. odyssey
−mc−
3. PINK
4. lemon tea
5. arch
6. seasons



ギターの音が流れ込んで「tomorrow land」からのスタート。今まで「未題」となっていた新曲で、今回より題名が付いている。
この曲からのスタートというのが意外で(有得るといえば有得るけど、今までの流れだとlemon teaかなとか。)、聴き手に「音を楽しむ」気持を浮かび上がらせる事が出来そうな曲。
「どんな時も 昨日のように 体に染み込んだメロディ」「いつか生まれ変わったように大人になってると想った」と聞き取れたそのサビの言葉がタイトルと重なって見える。
ISなりの「ふと気付けば傍にある 煌きが音になった」という表れなのかなというポップで後ろをただ見つめて下を向くのではないその先を見据えるそんな曲にも感じられる。
祐輔さんの真っ直ぐなその姿勢に、ヒデロウさんの漂い感あるのに何故か芯をしっかりと刻み込むベース。
淳人さんの1つ1つ音を流し込んで立ち止まった感情に一押ししてくれそうなそのドラムがやけに心地良い。
1月のライブからずっと自分の中に漂ってグワ〜っとISの音に呑まれて落ちていった感情も此処で何故か上に上に浮上してきて浮遊してくる気がした。
自分の居た位置が淳人さんもじっくり観察可能な感じで、淳人さんが二人の奏でる音をしっかりと掴んで引っ張っているような頼もしさを感じてしまった。
淳人さんの創る音のタイルが敷き詰められ、ヒデロウさんのベースがタイルが外れて迷わないようにくっついて、祐輔さんの奏でるギターがその上を涼しげに通っている。
そして音に重なるように聴き手に届けられる言葉が煌いて道を明るくしている。
そんな感覚を感じずにいられない。
何かに背中を押してもらってみるのもいいのかもしれない。でも、それが怖いという気持は消せないけど。だけどそれでいいのだろう。



間隔をあけずに「oddyssey」ピコピコと弾む打ち込みの音とピコピコの軽さに比べて重く淡々と刻まれるリズム隊の音。
特にベース、このフレーズ好きだと想った。
軽い感じもするんだけど、でも重みがしっかりある。打ち込みの軽めの液体と混ざり合わない違う色の液体が同じコップに入っているみたいな。
それが時折マドラーで回されて色が混ざったような見え方をする。
そんなイメージが浮かんでしまう。
綺麗なギターの音色が響いてる。それが泡のようで。
「君が笑って 僕が笑っていれる」という”僕”と”君”という自分の内面に向けてではなく誰かに対して向けるその届ける姿勢がとても素敵だった。
サビの部分では祐輔さんの声が綺麗に伸びている、その時の彼の表情がとても素敵で彼の「届けたい、音も言葉も聴き手に届けたい」という誠実な姿勢がそんな顔をさせているのかなと想ってしまう。
グラグラと空間に注ぎ込む音が、とても好きだ。
この曲のタイトルの意味を調べた時「長期の放浪」という言葉が出てきて、漂いたい深海魚な気持で一杯の私は何故かシンクロしてしまった。


しっかりと向き合えた音に、聴覚なのに光を受け取った気がしてふらふらしてしまう。
ふらふらな感覚も惹かれゆく感覚もそれはそれは温かい。
その温かみは本来「触れて混ざったら駄目、無機質になれない」と想うのに……
なのに触れてしまうのは何故なんだろう。




「え〜、ISです、こんばんわ。みなさんこんばんわ。」とご挨拶からMC。
企画参加への感謝の言葉を仰った後、「僕達、ISなんですけどもかなり久し振りで一ヶ月半振りなんですけど、ライブをやらせて頂いております。」
「え〜春ですよね。春です。(何故か哀愁ありありで)」と静かに春→桜の話題になってくる。
「なんか此処来るまでに…ネタなんですけどね、僕車で荷物を運びながら来るんですけどね…」と始まり中央高速での桜の出来事を話す、祐輔さん。
「きっと、見る景色って全部…桜の樹とか満開に咲いているのかなとか想っていたんですけども…どうやらそうでもなく花見は来週からかなと想ながら観ていました。」というネタから(ネタをネタと何故か言ってしまう祐輔さんがとても好きだ。)話し始める。
「その事を言いたいんじゃないんですけど…だいたい…桜の季節になるとこう気持が良くないんですね。なんかこう…憂鬱っていうか、なんかこう。」と桜の季節と内面について語りだす。
そのお話の内容はですね、
人によって捉え方が違うけれど「春」と「桜」に対してのイメージに”春 桜咲く 出逢い”という人と”春 桜散る 別れ”があるのではという祐輔さん。
ご自身を後者(つまり”春 桜散る 別れ”のイメージ)だと仰り、「でも此処にいる人もきっとそうじゃないかなと想って話してみたんですけど(笑)」なんて仰っていました。
これに対してはお客さんも笑い声が聞こえたり、祐輔さんも自分の心に触れる事を話題にしたのでちょっと「フフッ」と笑っていた。
でも、なんだろう自分は笑えなくて。
私は「春 桜が咲いて散る 何か始まって何か終わって、でも時間はいつも通りで、温かくて。」という両方の気持だったので祐輔さんの考えをふと聞いて感じるモノがあったりして。
想う事もあったりして。
祐輔さんのそういった感情の部分が曲に現れているのだななんて想ったり。
因みに今回はヒデロウさんへのフリなしで淳人さんの華麗なツッコミもなしで(mcの魅力の1つなのです。まったり祐輔さんMCもまた魅力)、
祐輔さんのしんみりなお話でしっとりした所で「PINK」演奏に繋げる言葉を口にする祐輔さん。


「久し振りなんですけど、”春 桜散る 別れ ”みたいな歌を歌いたいと想います。」と話し、「PINKという歌です。聴いてください。」と1つ間を置いて曲紹介をされる。
しかしイントロのメロディが数秒流れて止まる。
淳人さんのカウントで再度PINKの演奏が始まる。




アコギの音がとても優しい、照明も最初の2曲と同じはずなのに明るさが淡くなった気がする。
切ない淡い音が広がる。そして春の色が広がる。少し冷たい空気がPINKの歌詞にも出てくる扉から零れてきそうだった。
「季節は巡る 黙っていても」「伸びてく影に僕は 走った」
淡い手に取ろうとしてもつかみきれない「切ない」というカタチ。
春先のあの温かい日差しと日陰から注がれる涼しいさらりとした風。
「ハラハラ」という言葉で表される花びらの落ちる音。
その映像が浮かんできて、切なさで一杯になったり。
「ISの世界、ISの空間」に入り込んだのかもしれない。




淳人さんのドラムが一定のリズムで刻まれた後に、ふっとベースとギターが入り込むlemon teaに。
この始まり方が何故か好きになってしまった。
いつものあの始まり方も好きだし「ジャズ風味」なlemon teaも好きなんだけど、この始まり方が何故か今合っていたなと想う。
ふと「黄昏ギタリスト」のような表情をされる祐輔さん。勿論見逃さなかったんです、その表情を(笑)
1月2月とこの曲を何故か苦手に感じていて、それは自分の感覚がlemon teaの持つポップさと色と空気についていけなかった所為だと想う。
なのに今日はそんな「壁1つある感じ」が消えていて、1曲目から音に触れていけたからなのかも。
「音に触れるの怖いから、グルグルと心に浸透していってしまうから、癒されたくないのに癒されたら弱くなるのに」と頑なに拒んだ気持が柔らかくなったのかもしれない。
それはISがそうさせたのかな。
照明の明かりがクラリクラリと視界を刺激、多分照明の高さと天井の高さが関係していて視界に思い切り光が入るからなんだけど…
クラリクラリクラリクラリとしてきてフラフラが更にふらふらふらりとなってしまった。




続いてMC。次回以降のライブの告知を祐輔さんが行う。
物販についても告知をし、音源販売等の説明を行う。
「じゃあ、終わり2曲聴いてください。arch、seasons。」




淳人さんのカウントでarch。
ギターの音色が響く。心が空に向かっていったようだ。暗く色を隠した星を手にした空が思い浮かんだ。
「きっと…」と歌う祐輔さんの声が願いをひっそり込めているような感じに聴こえた。
ゆっくりと優しく漂うベースと同じく優しく刻まれるドラムの音。
真っ暗な分、星がゆっくり動いている分、雲が流れる様子が見えない分時間がゆったりに見える夜空を表しているみたい。
いくつもの願いを空にこめて、星に投げかけて。
「確かな事などないけれど」確実なんて誰にも言えない、「確実に叶う願い」なんてない。
なのにどうして願うんだろう。そんな事を何故か意味も無く想ってしまった。
御伽噺のような「曖昧さ」とふっと出てくる「現実にある空白感」がこの曲にあるのかもしれない。
歌詞を知ってから更に違った感覚を持ってしまうこの曲。
綺麗な切ない悲しい曲に見えて、でも何か奥底に流れ星がある気がして。
その流れ星は自分の命と引き換えに儚い願いに明かりをつける。
そんな事を想った。照明も空間も空だと感じられた。




曲が終わりふっと空気が変わってseasons。
気になる点がありつつも、気がつけば祐輔さんの姿勢が更に前へ前へと言葉を放つように見えた。
涼しげな風を持った、まるでドライブで車に入り込む潮風みたいな空気のあるこの曲は。
他の曲に比べてテンポとは違うけど時間の流れが違って見える。
ヒデロウさんの動きも音の持つ風に合わせてさらさらとした重低音を出している。淳人さんはそれに綺麗な粒子を流し込んでいる。
淳人さんの動きにこの曲は注目をしてしまうんだけど、淳人さんのドラムの動き…特に大きく大きくスティックを振り上げて叩くその姿が此処でも頼もしく見える。
この曲にある涼しくていつまでも透明な風の感覚は此処からくるのだろうか。







LIVEが終わった時、「想うままに、音に触れればいいんだな。」と想えた。
「癒されてたまるものか。無機質になれない。」とか「ISの音に触れるのがとても好きなのに、どうして中に入り込んで苦しくなるんだろう。どうして切ない言葉に共鳴をしすぎるんだろう。」なんて自分の中でも整理のつかない感情があった。
誰にだってあるのかもしれない「大好きだけど、聴いたら内面奥深くに仕舞いこんだココロが出てくるからグラグラする。」という曲が。 それを「嫌だ嫌だ」と一生懸命鍵をかけてしまって、そんなのも嫌で。
でも、それでいいのかもしれない。
そして想うままに触れたらいいんだろう。




ISのさらりとした、でもグラグラしたその感覚がとても好きで、そんなガラス球に閉じ込めてISの世界を作り上げる彼らは素敵だ。





「recollection」-Live report-にモドル。
TOPにモドル。

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