「recollection」-Live report-


mothercoat 2004 5/7 新宿JAM




1.雨ノモ負ケテ
2.アングル
-MC-
3.なあペンキ屋
4.マイクロウェーブ
5.No Beatles
6.安住の地




約1時間遅れのLive。
既にJAMの空気が狂気の渦が下から上から混ざり合っていた。
それはドロドロした狂気で、それがどんどんと積み重なったようだった。
そんな空気のも混沌とした狂気にも慣れていなくてふと下を向いてくらくらしたくなる。
ギガさんのMCでご挨拶。そして「雨ニモ負ケテ」。今日はロックンロールなmothercoatらしい。



本日は何故かギガさんのマイク等後ろ向きで彼は後ろ向きで歌うという…驚きました。 「おぉ。」とそれをスタッフ様に教えて貰って驚いて。
後ろ向きで歌うので、表情が見えない、言葉を吐き出す姿が見えないというのがあるので「どんな感じになるんだろう。」と気になっていた。
後姿からでも想像出来るギガさんの壊れ具合。
いつもの行動や行動によって出てくる空気も既に壊れていて狂気が溢れた空間に更に怖い紅を出していた。
それが最初は怖かった。「引き込まれる。今日はいつもと違う。怖い怖い。」
悪い意味ではなく、単純に自分が「音に引き込まれる」のが怖いというか空気に混じった感覚も慣れていなかったから尚更グラ〜グラ〜ときた。



そんな雰囲気での「雨ニモ負ケテ」だったのに、この曲にあるポップさが凄く可愛かった。
柱にもたれたり柱に身を潜めながらリズムに合わせて自分がノリノリだったのを感じた。
「可愛い曲」かと言われたら「違うんですけどね。」と答えるだろうこの曲がとても可愛かった。
無機質ではない「呼吸をするボク」の曲だと想っているので、
本来の自分の「こうありたい」とは違うんだけど、何故か共感も親しみもあるこの曲がとても可愛かった。
「可愛い」って感情って謎。



奥底から響くような音が鳴り響いて「アングル」。(自分の位置からよく見えなかったがベースかな?)
その音と線を引いたような綺麗なギターの音。その流れがメロディが凄く綺麗だった。
こういう流れの曲って好きで、mothercoatの持っている深い深い底なしの世界があると想う。
普通に歩いている道を歩いていて、 ふと暗くなって月が赤くなってそれを見上げて怖くなったら今度は目の前に暗い暗いトンネルがあるみたいな。
暗いはずのトンネルが紅だったり深い青だったり色があって。
「アングル」はそういう雰囲気がある気がする。単に音からそう想うのかもしれない。
時計の秒針のように刻まれるドラムの音が心地が良い。
其処に入り込むベースの音が渋くてぐらっとくる。
そのぐらっときた心を救い上げるのが綺麗なギターの音で。
またそれをぐいっと落とし込むのがヴォーカルの声とその放たれた言葉だと想う。
ロックな部分とポップな部分と自分の世界をちゃんと持って聞き手を其処に閉じ込めるそのチカラ。
それが魅力的なのだ。
其処に惹き込まれて閉じ込められたらもう逃げ出せないのだ。
逃げるという行動もきっと忘れてしまうんだよ。
この雰囲気にこの曲にこの放たれた光の艶に…怖かった。これは凄く怖かった。
ベースの音が怖いくらいに響いていた。たまらなく響いていた。



ギガさんのMC。
ギガさんの声が調子悪いという事でそんなお話を混ぜつつ。
(そういえば、風邪とかだったのだろうか。何を処方されたんだろう…消炎剤とか?)

「ペンキ屋さんの曲をやります。」


その言葉を言う前から「ギー」っと刺さるギターの音と小さく響くドラムの音。混ざりこむ低音。
其処から綺麗なギターの音がぐらぐら流れ込む。
そしていきなり大きく刻まれるドラムの音。


「なあペンキ屋」は多分初めてか?でも一度聴いた事があるのかも。
ドラムの音が大好きですね。この心音を消し去るような大きな音がぐらりぐらりとする。
実際に遠くから見つめる内藤さんの手の動きだったり…ドラムの音に魅力を感じずにいられない曲だと想いました。
ドラムの音しか聞こえないような静けさで歌うギガさんの声が、またぐっと心音をかき消す。
息が出来なくなったとしたらこの曲のドラムの所為だ。
歌詞で一番印象的なのが「ボクは色あせたいんだ お前はどうだ?」という1部分。
私はライヴの感想をまとめる際に「色彩」や「光」といった視覚的な表現をする事が多いのですが、 「綺麗な色」だったり「淡い色」を感想に用いるのはあるが「色あせていた」という言葉は使わない。
「色あせずに其処にあった音」とかなら使っても「色あせている」とは使わない。
人間として考えていても「色あせる」人間よりも「自分の色を持ち続けている」人間に私も誰かも惹かれると想う。
でも、「色あせたいんだ」と色を塗る存在「ペンキ屋」にそう言葉をかける意図に私は感情を持った。
「色あせたい」感情は「色を持ちたい。」または「自分にしかない色を塗りつけられたい」だったり
「自分の色が周りの色に混ざって消えてしまったから一度色あせてしまって色を取り戻したい」という感情の正体なのかもしれない。
このあたりは実際のmothercoatの意図と違っている解釈なのかも…



ドラムがそのままゆっくりとしたリズムを刻みながら、「ミョウジョウさんが持ってきた曲」という紹介と共に「マイクロウェーブ」
ギターの音が歪んでいる歪んでいる。この歪んだ一瞬が好き。
その歪みがこの空気みたいに聴き手を刺している。刺されている。
「あ…この感覚。怖い怖い怖い。」この日何度目かの「音の怖さ」「音に自分が惹き込まれる怖さ」が此処でも聴き手に浮かび上がる。
mothercoatでいつも想う「このバンドは聴き手を圧倒させるんだ。圧倒されたくないのに閉じ込められたくないのに閉じ込めてくる。」
というのが間奏部分のドラムの音が大きく響いて振動のような時に、其処に黙々と怖い足音みたいに重なるベースがあって、
綺麗な音に聴こえるけどぐらぐらとしているかき鳴らされたギターがあって。
そのままいけば歌うギガさんの「言葉」が流れてきて。
見ている方は柱に寄りかかりたくなる。
「真っ暗な空を見上げたらあまりに真っ暗で自分もその中に吸い込まれそうな」そんな気持。

そんな気持を最後の最後に綺麗なゆったりな音色が声がさらっと流れに沈めていく。
多分、何度も聴いてみたい。きっと聴いた分だけ印象も変わっていくかもしれない。
この空間の空気はロックな空気はこのひと時のもの。
また違った空気が其処にある。同じ空気がある時も出てくると想う。
また違う色の怖さが違う粒子で作られた空気が其処にあるんだと想う。
楽しみになってきた。
歌詞がUPされるのも楽しみになってきた。
そんな曲だった。



内藤さんのMC。CDやライヴの告知をされている。
いつも想うことだけど、内藤さんのMCはくらくらした聴き手を支えるような一瞬がある。
「あ、mothercoatのライヴ見ていたんだ。すっかり沈まされていた。」と再認識。
良い意味で好き。そして何気に内藤さんのMCでの言葉が頼もしかったなぁと想いました。
「ついていきますよ。」とココロの中で呟く自分が居た。
というよりは「此れ程までに聴き手をぐらりぐらりさせるんだから、離されても困るから。」なんて考えてたり。
一度、自分達の音楽のケースに聴き手を閉じ込めたのなら…ずっとずっと音が消えるまで閉じ込めて刺していくべきだ。
そんな我儘な聴き手が其処におりました(苦笑)



一転して今までの狂気であり怖さのあった音から少しだけ涼しげなさらりさらりな音が流れ込む。
綺麗な音だと想った。
綺麗な音がいくつも積み重なった。
それはきっとガラスを陽に翳して見えた虹のように。

その音が止み、ギガさんの言葉で「No Beatles」。
この曲は「ミョウジョウさんを観察(この曲のギターの音がかき鳴らす感じが素晴らしき。)」そして 「ベースの音をしっかりと聴く(弦楽器の音の鮮やかさとか彩りを感じるから。重低音ならなお良し。)という気がする。
後はmothercoatを初めてみたライヴで、その時一番印象的だった曲なのでついノリノリになってしまう。
多分かなりゆらゆらしていたはず。
ひっそりと影でこそこそとゆらゆらしたノリノリな状態のままこの曲にただ流されてしまったかも。
とにかくこの時楽しかった。怖いという「音」に関しての素敵な感情ではなく純粋に楽しかった。
勿論今までの流れた時間も凄く楽しかったんだけど、此処での「楽しい」というまっさらな感情って多分無かった。
今までの時間が「怖い」とか「ぐらりぐらり」だったけど此れは沈まされて意識が無くなるとかではない素敵さ。
ロックなmothercoatにくらりくらりとしながらもとても楽しくて笑顔になってしまっていた。
多分かなりニヤニヤリって感じでした。


そのままの流れで「安住の地」。
とても大好きな曲で(全部にそう言ってそうだけど…)、音が好き。綺麗なふんわりとした幻みたいな音があって。
光で出来た映像がぱっと出てきて思わず触れるんだけど映像というか光の通った痕みたいだから結局触れない。
そんな綺麗な音がある。
でも、歌詞は心にしっかりと刺さってくる。思わず頷いてしまう。
共感なのか同じ気持なのかわからないけど、多分私の捉えている感覚と作り手の感覚は違うだろうけど。
でもこの言葉にふと気持を繋いでしまう。
そんな魅力がある曲だとこの時想っていた。
今までとまた違う感覚なのかな。どうなんだろ。
あとギガさんの動きがたまらないです。好きです。壊れ具合が素敵すぎます。
其処にも「狂気」なのか区別つかない透明なチカラがあって。
そのチカラがオーラみたいに放たれながらギガさんは歌う。
言葉を音にして発していく。
それがカッコウイイ。多分とても素敵。


因みに、「安住の地」の最後部分でドラムセットの乗ったギガさん。
ドラムセットが一部分崩れるという事件発生。
そのままドラムセットから降り立ち、ギガさんは壊れたカッコウヨサのまま歌って動いて言葉を作り上げる。


ドラムセットが崩れたのにも関わらず冷静に叩く内藤さんが素晴らしかったです。
(此れはライヴ後に思わず述べました。)
内藤さんは只者じゃない、やはり。




読み返しても意味が判らない感覚のみのこの文章。
多分かなり褒めすぎていると想われます。でも私はけなす文章が書けないので、けなす事もなく素敵な部分を見てしまうのでどうしよう。
毎回拝見して毎回同じ「圧倒された」が出てくるのは可笑しいかもしれない。
私が単に可笑しいだけかもしれない。多分、そうかも(笑)
上手く音を言葉に出来ないもどかしさがこんな謎すぎな言葉を作るなら。
謎な言葉しかない間はmothercoatに惹き込まれたままでもいいと想った。
「狂気」は怖いという言葉以上に蝕むもの。
お気をつけあれ。




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